タワーマンション節税防止検討
国税庁や総務省が、相続税の節税を防止するために、節税に使われやすいタワーマンションの高層階への課税を強める新しい仕組みを検討しているのだそうです。
なぜかというと、マンションの相続税というものが専有面積に対してかかるものであり、その面積のある場所、すなわちそれが高層であろうが低層であろうが税額は一切変わりません。
とはいえ、タワーマンションにおける実際の市場価値を見てみると、高層であればあるほど高額なものとなっており、相続税と市場価値の価格差が行き過ぎた節税対策となり、これまでも問題しされていました。
そこで、高層であればあるほど評価額を高くするよう見直す課税強化案が浮上しているそうで、2018年度にも適用する方向で調整されているのだそうです。
相続税の基礎控除額の縮小
2015年1月に、相続税の基礎控除額が縮小され、最高税率が引き上げられました。
これまでの「5000万円+1000万円×法定相続人の数」だったものが、「3000万円+600万円×法定相続人の数」というように一気に引き下げられ、おまけに最高税率がこれまでの50%から、55%に引き上げられた上、税率構造も6段階から8段階に変更されたのです。
例を挙げると、
父親が亡くなり、母親と子供1人が法定相続人で、相続財産として相続財産が5,000万円あったとします。
その場合、以前の場合と改正後の場合を比較すると・・・
- 改正前
- 5,000万円 + 1,000万円 × 2 = 7,000万円
- 改正後
- 3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円
これにより改正前であれば、基礎控除額7,000万円ですので、税金はかかることはないのですが、改正後になると実際に相続する5,000万円は、基礎控除額である4,200万円を上回っているので、上回った分の800万円に相続税がかかることになります。
そして、ざっくりと税金の額を計算すると、母親と子供1人で1/2ずつをわけあうとすると、それぞれが2500万円受け取ることになり、2500万円の税率は15%(控除額50万円)ですから、それぞれが2500万円x15%-50万円の税金である、325万円を税金として納めなければなりません。(配偶者に対しての税額控除もありますが、今回は割愛します。)
つまり、手元には2500万円-325万円=2175万円が残るということです。
まぁ、このへんの金額であれば、さほど大きな額の税金をとられるということはありませんが、税率は55%ともなると、笑って入られない額の金額を税金として持っていかれることになります。
ですから、多くのお金持ちは、タワーマンションを購入することで節税を行おうとするわけです。
タワーマンションでの節税
では、なぜタワーマンションで節税になるのかというと、例えば1億円の資産をお金としてもっていた場合、相続税はそのまんま1億円にかかります。
しかし、この1億円を使って、高層マンションを購入したとしましょう。
そしてそのマンションの評価額が4000万円だったとした場合、相続税はその評価額である4000万円にしかかかりません。
この段階でも大きな節税となっているだけでなく、相続した後にそのマンションを売ってしまえば、さらに効果がおおきくなるというわけです。
もちろん、売れなければ意味のないものとなってしまいますが、それだからこそ、タワーマンションの高層階が人気となって飛ぶように売れてしまうのです。
まぁ、多くの場合、この節税対策で影響を受ける人は多くはありませんが、せっかく稼いだお金を国にガッツリと持っていかれるというのであれば、日本国内での勤労意欲を失われ、税金の安い海外へと移住していく富裕層が出てくるのかも知れませんね。