マンション標準管理規約・適正化指針を改正
3月14日、国土交通省が「マンションの管理の適正化に関する指針」及び、「マンション標準管理規約」を改正しましたね。
背景としては、日本の高齢化問題や少子化問題による管理組合の担い手不足や、それに付随する業務である管理費滞納などの管理が行き届いていないこと、また、暴力団排除の必要性や災害時における意思決定ルールの明確化などの課題に対応できる新たなルールの整備が必要だということで平成23年以来の改正となりました。
残念ながら、今一番の問題となっているであろう民泊については、たいした改正案もなく、棚上げされたような感じです。
改正された中身を取り上げてみると、これまでは所有者から選ばれていた管理組合の役員に外部の人を登用できるようなったり、管理費を夏祭りなどの費用に充てられないようにされています。
とはいえ、標準管理規約に法的な拘束力はありませんから、おおきな変化はないように思えますね。
「マンションの管理の適正化に関する指針」及び「マンション標準管理規約」の改正について
「マンションの管理の適正化に関する指針」及び「マンション標準管理規約」
改正事項一覧
Ⅰ.「マンションの管理の適正化に関する指針」改正の概要
- コミュニティ形成の積極的な取り組みを新たに明記
「基本的方向」に、新たに、コミュニティ形成の重要性を位置付け、「管理組合が留意すべき基本的事項」に管理費とその他の費用の適切な峻別の留意点を記載。- 外部専門家を活用する場合の留意事項を明記 基本的方向」「管理組合が留意すべき基本的事項」に、外部専門家の活用 及びその場合の留意事項を記載。
Ⅱ.「マンション標準管理規約」改正の概要
- 外部の専門家の活用
理事長を含む理事及び監事について、これまで区分所有者に限定していたものを、選択肢として外部の専門家も就任可とし、利益相反取引の防止、監事の権限の明確化等の所要の規定を措置。
(全般関係コメント、第 35 条~第 41 条、別添1等)- 駐車場の使用方法
駐車場が全戸分存在しない場合における入れ替え制などの公平な選定方法、空きが生じている駐車場の外部貸しに係る税務上の注意喚起等の解説を追加。
(第 15 条関係コメント)- 専有部分等の修繕等
専有部分等の修繕は、理事会の承認等を得て実施可能とする。
(第 17 条、第 21 条、第 22 条、別添2等)- 暴力団等の排除規定
暴力団の構成員に部屋を貸さない、役員になれないとする条項を整備。
(第 19 条の 2、第 36 条の 2 等)- 災害等の場合の管理組合の意思決定
緊急時における補修などの保存行為は理事長が単独で判断し、緊急時の応急修繕は理事会で決定すること等とした。(第 21 条、第 54 条等)- 緊急時の理事等の立入り
災害や事故が発生した場合の緊急避難措置として、理事長が専有部分に立ち入ることができることとした。(第 23 条関係コメント)- コミュニティ条項等の再整理
防災・防犯、美化・清掃などのコミュニティ活動は可能であることを明確にし、判例も踏まえた条項として各業務を再整理。(第 27 条、第 32 条)- 議決権割合
新築物件における選択肢として、総会の議決権(及び譲渡契約時の敷地の持ち分割合)について、住戸の価値割合に連動した設定も考えられる旨の解説を追加。(第 46 条関係コメント)- 理事会の代理出席
理事会への理事の代理出席について、あらかじめ代理する者を定めておく、議決権行使書による表決を認める等が望ましい旨の解説を追加し、理事会の議決有効性を巡るトラブルを防止。(第 53 条関係コメント)- 管理費等の滞納に対する措置
管理組合が滞納者に対してとり得る各種の措置について、段階的にまとめたフローチャート等を提示。(第 60 条、別添 3)- マンションの管理状況などの情報開示
大規模修繕工事の実施状況や予定、修繕積立金の積み立て状況などの情報を開示する場合の条項を整備。(第 64 条、別添4等)- その他所要の改正
マンションの建替えの円滑化等に関する法律の一部を改正する法律(平成 26 年法律第 80 号)の施行等に伴う改正、字句の修正 等
なお、上記と同様の改正を、マンション標準管理規約(単棟型)だけでなく、マンション標準管理規約(団地型)及びマンション標準管理規約(複合用途型)についても行うこととする。